ワーク
2025.03.31
短期離職を繰り返さない!障害者雇用で長く働くために知っておくべき採用ミスマッチとは?

2024年4月、法定雇用率の引き上げにより、障害者の就職機会が増えることが期待されています。
その反面、障害者の就職ミスマッチの増加が見込まれるため、
入社後、「イメージしていた仕事でなかった」「もっとサポートしてもらえると思っていた」などと感じてしまうことを
防ぐために、企業と障害者との間で就職ミスマッチが起こる要因とその解決策を知ることがとても重要になります。
今回は、
・障害者雇用枠における最新の就職市場はどうなっているの?
・なぜ採用ミスマッチが起きているのか?
・採用ミスマッチを少なくするためのポイント
・ミスマッチを防いだあと、長く働くためには?
などについてご紹介します。
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もくじ
障害者雇用枠における最新の就職・転職市場
新規求職申込件数の推移
コロナ禍で一度減少したものの、全体を見ると年々右肩上がりに増えてきています。
出典:令和5年度 障害者の職業紹介状況等|厚生労働省
就職件数(雇用数)の推移
障害別にみると、
・身体障害者は368,949.0人(対前年比2.4%増)
・知的障害者は 157,295.5人(対前年比4.0%増)
・精神障害者は150,717.0人(対前年比15.7%増)
と、いずれも増加しており、
特に、精神障害者の雇用数に関しては対前年比15.7%増と年々伸び率が大きくなっています。
出典:令和6年 障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省
※ここでは障害者雇用促進法第二条一項に基づき、算出しています。
年齢と障害種別での就業割合と常用労働者との比較
常用労働者とは、雇用期間を定めず雇用されている労働者のことです。
ここでは、年齢と障害種別での就業割合、そして常用労働者との比較を説明します。
身体障害者
65 歳以上層が 17.4%と最も割合が高くなっており、 常用労働者と比較すると、身体障害者の雇用は、49 歳以下の層で割合が低く、50 歳以上の層 で割合が高くなっています。
知的障害者
20~24 歳層が 25.0%と最も割合が高くなっており、常用労働者と比較すると、知的障害者の雇用は、34 歳以下の層で割合が高く、35 歳以上の層 で割合が低くなっています。
精神障害者
50~54 歳層が 15.7%と最も割合が高くなっており、 常用労働者と比較すると、精神障害者の雇用は 20 歳~39 歳の層と 50 歳~54 歳の層で割合が高くなっています。
※常用労働者の定義:令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省内 主な用語の定義 より抜粋
表の出典:令和5年度障害者雇用実態調査の結果を公表します|厚生労働省内 調査の概要・調査結果の概要(別添)[PDF形式:1.5MB]
これらを通してみると、身体障害者は50歳以上も就労している割合が多いです。しかし、知的障害者の就労割合は20~24歳を区切りに減少傾向になっています。加えて、精神障害者の就労割合は25~54歳間で横ばいになっていますが、55歳以上になると格段に減少している、ということがわかります。
業種別にみる就労割合
障害種別ごと
身体障害者
身体障害者が最も多く就労しているのは、製造業で 21.3%であり、次いで、卸売業、小売業 21.2%、サービス業 14.9%となっています。
知的障害者
知的障害者が最も多く就労しているのは、卸売業、小売業で 32.9%であり、次 いで、製造業 15.4%、サービス業 13.2%となっています。
精神障害者
精神障害者が最も多く就労しているのは、卸売業、小売業で 25.8%であり、次いで、製造業 15.4%、サービス業 14.2%となっています。
出典:令和5年度障害者雇用実態調査の結果を公表します|厚生労働省 内
調査の概要・調査結果の概要(別添)[PDF形式:1.5MB]
身体障害者、知的障害者、精神障害者、が就労している上位3業種は、いずれも製造業、卸売業、小売業、サービス業となっていることがわかります。
法定雇用率引き上げに伴う新規求職申込件数&就職件数の関係性
昨今の法定雇用率引き上げに比例し、求人数&就職件数が増えてきており、
また、精神障害者の雇用数に関しては、近年著しく大きくなっていることがわかります。
しかし、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センターの「障害者の就業状況等に関する調査研究」によると、就職後1年時点の障害別の定着率は、身体障害者 60.8%、知的障害者 68.0%、精神障害者 49.3%、発達障害者 71.5%となっています。このデータは、障害者雇用における職場とのミスマッチが増加していることを示しています。
このように、法定雇用率の引き上げに伴い雇用数は増加していますが、定着率の低さが課題となっています。
特に就職後1年時点の障害別の定着率が一番低い精神障害者(49.3%)の退職理由としては、
職場環境の問題や病状の変動、労働条件の不一致などが挙げられています。
これらの要因が重なることで、精神障害者の定着率が低くなることが確認されています。
出典: 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 「障害者の就業状況等に関する調査研究」
障害者雇用で就職ミスマッチが起きる要因
障害者雇用で就職ミスマッチが起きる要因を「企業」と「障害求職者」の2つの側面から考えてみます。
企業
「支援機関に通所しているから問題ない」という考え
就労移行に通う人の特徴やメリットとして、
「定期的に通所している」「自分の得意・不得意がわかる」「相談できる人がそばにいる」といったことがあり、
その反面、企業側が「就労移行に通っているということだけで、ある程度OKとして内定を出す」ケースが存在します。
「半年から2年近くにわたり就労移行支援に通っていて、自身の不得意分野の把握もできている。
また、支援機関の定着支援も受けられるため、当人に問題が起きても支援者に相談すれば問題ない」
という理由から、「支援機関に通所しているから問題ない」と、内定を出しやすくなります。
障害求職者
求人票やホームページの情報だけで判断
求人応募において、自分に合う職場かどうかの判断に必要な情報は、求人票の内容のみではわかりません。基本的に求人票は、実務内容や必要なスキルしか掲載されていないケースが多いためです。
そのため、上司や同僚の人柄や職場の雰囲気、コミュニケーションの取り方、障害に対する理解度、配慮の内容、そして問題が発生した際の相談先や相談方法が不明な状態で応募してしまいます。
これらが、就職ミスマッチが起きている大きな要因です。
企業が求めている人材の特性3選
前述のとおり、ミスマッチが起きる要因を理解したうえで求職者として、何を意識すればいいのでしょうか。
それは、求人票やホームページの情報だけで判断するのではなく、
その根底にある企業が求めている人材の特性を知ることです。
企業が求めている人材の特性として、以下の3点があげられます。
心身の安定
心身の安定とは、精神的および身体的な健康が保たれている状態のことです。
就職において、「毎日働けるか」「きちんと通勤できるか」など、精神的および身体的な健康が保たれている状態の求職者を企業は求めています。
<できること>と<できないこと>の明確化
就職活動において、できること、できないこと、得意なこと、不得意なこと、について、しっかりと説明ができるようにすることが大切です。障害の診断名・経緯・特性・配慮事項については面接でも確認されることが多いので、事前準備をしっかり行いましょう。
協力・相談の姿勢
仕事ではチームワークが大切な場面が多くあり、チーム内での協調性や上司や同僚へ相談する姿勢があるかどうかが大切です。仕事や体調面において、伝えにくい場面であっても、長く働くためにしっかりと相談するようにしましょう。
相談することで、企業側の配慮を受けられるケースがあるので、早期退職などのミスマッチを防ぐことに繋がります。
これらの3点の特性を満たしている求職者は「支援機関に通所している」ことが多いです。
・心身の安定=通所率
定期的に支援機関に通所することで、規則正しい生活習慣が維持されます。
企業から見ると、職場への通勤や勤務に必要な体力やリズムが整い、安定した通勤が期待できる、といえます。
・<できること>と<できないこと>の明確化=支援員との職場適応トレーニング
支援機関では、障害者が職場に適応するためのトレーニングが行われ、業務遂行スキルを身に着けながら、自分の得意なことや不得意なことを理解することができます。
企業から見ると、障害者が自分の特性を理解し、適切に業務に取り組めることは、安心して業務を任せることができる要素となります。
・協力・相談の姿勢=支援員への相談・面談
支援員への相談や面談を通じて、協力・相談の姿勢が養われます。
企業から見ると、職場でのコミュニケーションが円滑になり、チーム全体の生産性が向上することが期待されます。
このように見ると、支援機関に通所していることだけで企業の求める人材としての条件を満たしており、長く働くことが出来るように見えるかもしれません。
しかし、支援機関に通っていても、企業が求めている人材であったとしても、職場のミスマッチは起こりうるのです。
ミスマッチを解消する方法
では、ミスマッチを解消するためにはどのようにすべきなのでしょう。
ミスマッチを解消するには、
【自分を正しく説明する】し、【素直に受け答えし、アピールしすぎない】ことが重要です。
自分を正しく説明する
自分の経験やスキル、障害について正直に話すことは、就職活動において非常に重要です。
具体的なエピソードや実績を交えて説明することで、企業はあなたの能力や適性をより理解しやすくなります。
また、正直に話すことで信頼関係を築くことができ、入社後のミスマッチを防ぐことができます。
例えば、過去のプロジェクトでどのような役割を果たしたか、どのような成果を上げたかを正直に、具体的に伝えると良いでしょう。
素直に受け答えし、アピールしすぎない
就職活動では、素直に自分を説明することが大切です。アピールを過度に行うよりも、誠実さを持って自分のことを伝える方が、企業に好印象を与えます。素直に話すことで、企業はあなたの人柄や価値観を理解しやすくなり、長期的に働けるかどうかを判断しやすくなります。
例えば、自分の障害についてどのように工夫してきたか、どのように仕事に取り組んできたかを前向きに伝えると良いでしょう。
これらを意識することで、
こんな会社と思ってなかった…という求職者と、
こんな方だと思ってなかった…という企業側のミスマッチを防ぐことにつながります。
より長く働くためのポイント
ミスマッチを解消する方法を実施したうえで、
「職場での成長を目指したい!」「企業に貢献したい!」など、活躍するためのポイントが3つあります。
障害者雇用枠で働くこと
企業は障害者雇用枠で採用する際に、障害に対する理解や配慮を行います。
例えば、勤務形態の調整や職場環境の整備、通院休暇の提供などが行われ、障害者が安心して働ける環境が整えられます。
支援機関の助言や援助などを受け入れる支援がある企業で働くこと
支援機関の助言や援助などの支援を受け入れる企業で働くことは、障害者が職場に適応しやすくなるため、長期的な雇用と活躍に繋がります。また、専門的なサポートを受けることで、業務の遂行や職場でのコミュニケーションが円滑になり、職場でのストレスが軽減されます。
就職前に職場の見学や体験に行くこと
就職前に職場の見学や体験に行くことは、企業と求職者のミスマッチを防ぎ、早期退職を減少させる効果があります。
実際の職場環境や業務内容を事前に体験することで、求職者は自分に合った職場かどうかを判断しやすくなります。
職場見学や体験を通じて、求職者は職場の雰囲気や同僚とのコミュニケーションの様子を確認できるため、入社後のギャップを減らすことができます。
また、企業側も求職者の適性や能力を見極めることができるため、採用後の定着率が向上します。
障害者雇用支援サービスを展開している株式会社スタートラインでは、
障害者雇用支援サービスサポート付きサテライトオフィス INCLU(インクル)、
屋内農園型障害者雇用支援サービス IBUKI(イブキ) 、
ロースタリー型障害者雇用支援サービスBYSN(バイセン)などのお仕事があります。
どのお仕事も障害者雇用支援の実績豊富な専門スタッフが特性や適性・配慮を把握し、いつでも相談可能な環境で長く安心してお仕事することができます。
オンライン説明会や見学体験会も無料で実施しています。
質疑応答のお時間もございますので、興味がある方はぜひご参加ください。
▼オンライン説明会・見学体験会はこちら
INCLU(インクル)見学会・オンライン説明会のご案内
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まとめ
障害者雇用の増加と共に、職場のミスマッチは増えることが予想されます。
ミスマッチを防ぐためには、
【自分を正しく説明】し、【素直に受け答えし、アピールしすぎない】 ことが大切です。
また、ミスマッチを防いで、より長く働きながら活躍するために、
・障害者雇用枠で働くこと
・支援機関の助言や援助などの支援を受け入れる企業で働くこと
・就職前に職場の見学や体験に行くこと
を参考にしてください。